【今日、明日の自分を考える】臓器提供の意思表示と家族への表明。

未来のことは誰にも分かりません。

今まで当たり前だと思っていたことが明日、当たり前じゃなくなっているかもしれません。

もし、明日交通事故にあって、脳死状態になったとしたら。

あなたの臓器提供の意思表示の有無があなたの家族の未来を左右するかもしれません。

 

免許証の裏や保険証の裏などに、臓器提供の意思表示の欄があるのを見たことがありますか?

ドナーカードが置いてあるのを見たり、それをもらったりしたことはありますか?

みなさんは臓器移植についてきちんと意思表示をしていますか?

意思表示をしていないひとも多いのではないでしょうか。死を身近に感じる場面というのは少なく、臓器提供のことなどイメージもつかないかもしれません。普通に暮らしていても臓器移植について深く考える機会はほとんどありません。

しかし、万一のときに備えて、きちんと臓器移植のことを理解し、意思表示をして、家族と話し合っておくことが大切です。明日のことは誰にも分からないのだから。

 

そもそも臓器移植とは

医療が進歩した現代でも、治らない病気はたくさんあります。

そんな病気に苦しむひとが病気から解放されるためには、ほかの方の健康な臓器の移植が必要な場合が多くあります。

臓器移植には、生きている人(主に家族)から臓器を提供してもらう場合、心臓停止してから臓器を提供してもらう場合、脳死の方から臓器を提供してもらう場合があります。

生体では、もちろん心臓や小腸などの移植はできません。

心臓停止後の場合、腎臓、膵臓、眼球の提供が可能です。

脳死後の場合、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球の提供が可能です。(日本の場合)

供することができます。

 脳死と植物状態

ところで、みなさんは脳死と植物状態の違いをきちんと理解していますか?

同じようなものだと思っている方も多いかもしれません。しかし、実際この2つは全く異なる状態のことを指しています。

まず、脳死の場合は、脳のすべての機能が失われた状態です。脳はさまざまな感覚を知覚し、指令を出して体を動かしています。脳のすべての機能が失われたらそれらが全くできなくなり、呼吸でさえできず、人工呼吸器が必要になります。しかし、心臓は、脳の指令がなくとも心臓自身が自ら動くことができるので、心臓は脳死状態でも機能します。

WHOによると、ほとんどの国では「脳死は人の死である」となっています。もちろん、日本でも同様です。だから、脳死の場合には臓器の提供が可能となります。

 

対して植物状態では、脳のうち脳幹の機能が残っている状態のことです。ほとんどの場合、自ら呼吸をすることができ、回復することもあります。

 

つまり、脳死は脳のすべての機能が失われた状態のことで、植物状態とは脳幹の機能は残っている状態のことです。植物状態では回復することもありますが、脳死では日本をはじめ多くの国で「人の死」であると考えられています。

臓器提供をする場合、2人以上の医師によって二度の脳死判定が行われ、正式に死亡と認定されたのち、臓器提供がおこなわれます。

 

現在の臓器移植 

日本では、1964年に初めて生体での臓器移植が行われ、1997年には脳死後の臓器提供が可能となりましたが、これは本人の書面による意思表示が必要でした。現在では、2010年に施行された改正臓器移植法により、本人の意思が不明な場合の家族の承諾による臓器提供が可能となっています。

 

意思表示をしていないと家族が困る

前述の通り、2010年に臓器移植法が改正され、本人の臓器移植への意思が不明な場合でも、家族の承諾があれば臓器提供ができるようになりました。

つまり、ドナーカードなどで臓器移植に対する意思表示をしていない人が脳死状態に陥ったとき、その家族が臓器を提供するのか、しないのかを決断しなければいけません。

もし自分が脳死状態になったとき、積極的治療を続けるのか、消極的治療にするのか、はたまた臓器を提供するのか、といった選択を家族が迫られることになります。

臓器提供に関する意思表示が明確な場合、家族は本人の意思を尊重して選択することが可能ですが、意思表示がない場合は、かなりの負担をかけることになってしまいます。

臓器移植をするということは、法的には死亡している状態とはいえ、心臓の動いている家族の心臓を停止させるということであり、ただでさえショックを受けている家族に、その判断をさせるのは酷なことです。

事前に意思表示をし、きちんと家族で話し合っておくことが大切です。

 

臓器提供について考え、家族に伝えよう

臓器提供の意思表示をドナーカードや免許証の裏などに書いておくだけでも十分ではありません。なぜなら家族がそのカードの存在を知らなかった場合なかったことになるからです。

そのため、臓器移植の意思表示を行った後、それを家族に伝えておくことが大切です。

自分が死んだ後のことを家族に言うのは抵抗があるかもしれませんが、これによって万が一自分が脳死状態に陥った場合などに、ダメージを受けている家族の負担を軽減することができます。

 

死後に誰かの命を救える

死んだあとのことを生きているときに考えるのはたしかに難しいことです。

しかし、臓器移植をすれば病気に苦しむひとを病気から解放させることができ、自分が死んだ後も、誰かの体の中で自分の臓器が生き続けるのです。

実際、ひとりのドナーから、平均で5.5人へ臓器が提供されているそうです。

死んだ後に、誰かの命を救うことができるというのは、素晴らしいことではないでしょうか。

実際、アンケートによると半数近くの日本人が、自分が死んだ場合、臓器を提供したいと回答したそうです。

もし臓器を提供したいという気持ちがあっても、生前に臓器提供の意思表示をしていないと、家族の判断により行われないかもしれません。やはりきちんと臓器移植について話し合っておくことが、自分にとっても、家族にとっても、そして臓器の提供をまつレシピエントにとっても大切です。

 

提供したくない場合でもその意思表示を。

もちろん、さまざまな理由で臓器提供をしたくないという方もいると思います。その意思もまた尊重されるべきです。臓器提供をしたくない場合、その意思表示をしていれば、臓器提供は行われません。提供するしないにかかわらず、意思表示をして家族と話し合っておくことが大切です。

 

まとめ

自分が死んだときのことなど考えたくない、考えられないという気持ちもあるとは思いますが、あなたの意思表示によって、あなた自身も家族も臓器提供を待っている人も救われます。

もちろん、臓器移植にもリスクはあり、拒否反応なども考えられます。それでも多くの患者がドナーを待っており、日本では平均で18年間、臓器の提供を待っているというデータもあるそうです。

一度、臓器提供についてしっかり考え、その意思を家族に伝えてみてはいかかでしょうか。 

 

詳しいことは、日本臓器移植ネットワークのホームページへ。

www.jotnw.or.jp