好きな人が未だに忘れられない、ガリ勉でモテない僕の初恋の話。

小学校時代

ぼくの初恋は小学校3年生のときだった。それは突然のことだった。

4月の始業式の日、学校に行ってみると転校生が来るとクラスで噂になっていた。

どうやら机の数がひとつ増えていて、空いたロッカーや下駄箱があるらしい。

下駄箱には名前が書かれていて、その子の名前はRといった。

これまで転校生が入ってきたことはなく、これが初めてだ。クラス中が興奮していた。

校長室にだれか知らない女の子が入っていったのを見たという話を聞いて、好奇心旺盛な友人たちと校長室に行った。

 

 

校長室のドアは空いていた。

中には、校長先生、担任の先生、Rちゃん、Rちゃんの両親がいた。

僕たちが騒いでいると彼女はそれに気づいてこっちを向いた。

目が合った。かわいいなと思った。

このときには僕はまだ、彼女のことを好きになり、あんな気持ちになると知る由もなかった。

 

教室に戻ると、やはり転校生の話題で持ち切りだった。

まもなく朝の会が始まり、彼女が全員の前で簡単な自己紹介をした。

隣の小学校に通っていたこと、引っ越しで来たこと、運動が得意なこと。

そして彼女はひとつだけ空いている席に座った。

朝の会が終わると、クラスのみんなは彼女の机を囲んだ。いろいろな質問をして、彼女はそのひとつひとつに丁寧に答えていた。

僕はずっと自分の席に座っていた。ぼくは人見知りだった。

 

彼女と初めて話したのはその日の帰り道だった。

僕の家は、ほかのクラスメイトの家から遠く、帰り道も違っていたからいつも一人で家に帰っていた。

いつものように一人で帰っていると、突然声をかけられた。彼女だった。

彼女はなぜがぼくの名前を知っていた。

15分足らずの通学路を一緒に歩き、話をした。

彼女は、笑顔が印象的な女性で、僕のつまらない話でも大笑いをした。

彼女の家は僕の家から近かった。

それから毎日一緒に帰るようになった。

 

今思えば初めて一緒に帰ったあの日から、たぶん僕は彼女のことを好きだった。

ぼくは彼女の自由さ、奔放さに惚れていた。

 

彼女の名前の頭文字は「る」

彼女の「る」はとても特徴的だった。斜め上に短い横線、尖った斜め線、小さなまる。

一目みれば彼女が書いたと分かる。

彼女いわく、少し斜めに字を書くと上手に見えるらしい。

ぼくはそんな彼女の書く文字もとても好きだった。

 

中学校時代

当たり前だと思っていた日々にも終わりが来た。

小学生を卒業して中学生になった。

中学校になると一緒に帰ることはなくなった。

ほかの小学校だった人と一緒に帰ることが出来るようになったし、お互い違う部活に入って終わる時間も違った。

6年間同じだったクラスも、中学校では違うクラスになった。話すことも少なくなったが、ぼくは彼女のことをずっと好きだった。

 

ある日、彼女から手紙をもらった。

内容は来週の土曜日に一緒に遊ぼうといった内容だった。

中学校では彼女が僕のことを好きだという噂が流れていた

ぼくはその手紙に返事をしなかった

本当はとてもうれしかったけど、彼女と恋愛関係になることに躊躇していた。

変に意地を張っていたのだと思う。

好きだったら付き合えたらうれしいじゃないかと思うだろうが、その勇気が出なかった。嫌われるのが怖くて、一歩踏み出せなかった。

 

その一か月後、彼女に彼氏ができた。

中学校で一番のイケメンだった。

彼女は結局イケメンが好きだったのかと思った

僕に恋愛は向いていないと悟った

それからというもの僕は勉強と部活に明け暮れた。

勉強では学年で2番になったし、部活でもレギュラーになった。

高校生になるとお互い違う高校に通い、ほとんど会うことも話すこともなくなり、大学生になると僕は地元を離れた。

 

今でも勉強をしているとき、ふと自分のノートの「る」の文字を見て彼女のことを思い出す。

あのとき好きだと言っていたらどうなっていたのか、あの手紙に返事をしていたらどうなっていたのか。

過去のことばかり気にしているから、いまだに彼女ができないのかもしれない。

 

おわりに

先日、結婚式の招待状が届いた。彼女からだった。

手書きのメッセージが書いてあった。

一目で彼女が書いたものだと分かった。

彼女のウェディングドレス姿を見たら、少しは前に進めるだろうか。